舞鶴市民新聞に掲載されました。青木さんの心のこもった記事です。(4月13日号)

  • 被災の故郷のため看護師に宮城県岩沼市から 日星高へ入学

    小野寺さん 東日本大震災を体験して

    東日本大震災で被災した宮城県岩沼市から、看護師を目指して私立日星高校(水嶋純作校長)看護科5年課程に入学した生徒がいる。小野寺泰世(たより)さん(15)。震災後、けが人の治療にあたった看護師の姿を知って進路を決め、被災地出身の生徒を支援する日星高を受験した。親元を離れて歩み始める小野寺さんは強い想いを胸に4月10日、母とともに入学式へ臨んだ。 昨年の3月11日は兄の崇良(たから)さん(16)の卒業式だった。家族で食事のため車で外出中に大地震に遭遇し、普段なら30分の距離を信号が消え、2時間かかって自宅へ戻った。岩沼市職員で保健師の母、由紀子さん(44)はしばらく自宅に戻れないと考え、家にあるだけの食料を出して、「2人で計画的に食べるように」と言い残し、救護所になっている市保健センターに向かった。 岩沼市は名取市南部に隣接し、太平洋沿岸の仙台平野を襲った津波で、市域の48%が浸水し約200人が亡くなった。由紀子さんは停電で情報が入らない状況下、避難誘導のため出かけたきり戻らない同僚や、救護所に次々と自衛隊員が遺体を運ぶ光景に津波の被害を知った。 町では2日目の夜から炊き出しが行われ、ピンポン玉のようなおにぎりが1個渡された。水道と電気、ガスが使えない中、避難所には行かず津波の難を逃れた自宅に兄と留まり、四日間ほど不安な日々を2人で過ごす。 震災前、看護師や保健師の仕事を聞いたことはなかったが、日赤の救急チームが駆けつけ、けが人の治療にあたる活動を語る母の話に、「私には何もできない」と感じる一方、やりがいのある職業と思えるようになった。 地元の私立高校に合格していたが、日星高が3年間の学費と寮費を免除する制度を作ったことを知り、寮生活で勉強にも集中できると受験に挑んだ。合格後に日星高の生徒が福島などの看護科生徒や名取市に義援金や折り鶴を送ったことを聞き、「全国から支援してくれているんだと分かった」と先輩たちの応援を心強く思った。 故郷を遠く離れる選択に、「看護師になれるのだったら宮城でなくても同じ」と前を向く。その先には医療従事者が不足する被災地に戻る道が続く。「生まれ育ち、母がいる地元で人の気持ちが理解でき、周囲から頼りにされる看護師になりたい」と想いを口にする。 そんな娘を送り出す由紀子さん。「決心が揺らいだ時にそばにいてやれなくて心配ですが、娘を信じて行かせようと思いました。学校のサポートも手厚いので安心しています」と見守っている。 日星高の2012年度の新入生は普通科が80人、看護科5年課程が37人。