京都府私立中学高等学校連合会北部支部が主催して、今年の臨地研修が行われました。
研修先は、宮城県の仙台市と女川町。本校からは理事長・学校長と齋藤が参加しました。
研修初日27日は、仙台育英高校と明成高校を訪問しました。
育英高校では、震災以後建て直した新生校舎を見せていただきました。明成高校では、石巻西高校の齋藤校長先生から、詳しい資料を元にして、被災地の高校としてのこれまでの取り組みを聞かせていただきました。その中で、生徒が書いた詩が紹介されました。今の被災地の人たちの心情が描かれています。

『潮の匂いは』

潮の匂いは世界の終わりを連れてきた。僕の故郷はあの日波にさらわれて、今はもうかつての面影をなくしてしまった。引き波とともに僕の中の思い出も、沖のはるか彼方まで持っていかれてしまったようで、もう朧気(おぼろげ)にすら故郷の様相を思い出すことはできない。

潮の匂いは友の死を連れてきた。冬の海に身を削がれながら、君は最後に何を思ったのだろう。笑顔の遺影の口元からのぞく八重歯に、夏の日の青い空の下でくだらない話をして笑いあったことを思い出して、どうしようもなく泣きたくなる。もう一度だけ、君に会いたい。くだらない話をして、もう一度だけ笑いあって、サヨラナを言いたい。

潮の匂いは少し大人の僕を連れてきた。諦めること、我慢すること、全部まとめて飲み込んで、笑う。ひきつった笑顔と、疲れて丸まった背中。諦めた。我慢した。” 頑張れ ” に応えようとして、丸まった背中にそんな気力がないことに気付く。どうしたらいいのかが、わからなかった。

潮の匂いは一人の世界を連れてきた。無責任な言葉、見えない恐怖。否定される僕たちの世界、生きることを否定されるされているのと、同じかもしれない。誰も助けてはくれないんだと思った。自分のことしか見えない誰かは響きだけあたたかい言葉で僕たちの心を深く抉(えぐ)る。” 絆 ” と言いながら、見えない恐怖を僕たちだけで処理するように、遠回しに言う。” 未来は ” は僕たちには程遠く、” 頑張れ ” は何よりも重い。お前は誰とも繫ってなどいない、一人で勝手に生きろと、何処かの誰かが遠まわしに言っている。一人で生きる世界は、あの日の海よりもきっと、ずっと冷たい。

潮の匂いは始まりだった。
潮の匂いは終わりになった。

潮の匂いは生だった。
潮の匂いは死になった。

潮の匂いは幼いあの日だった。
潮の匂いは少し大人の今になった。

潮の匂いは優しい世界だった。
潮の匂いは孤独な世界になった。

潮の匂いは・・・・・・。

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