みなさんは、ディズニーランドを知っていますね。年間3000万人の人が訪問し、先月には、開園以来34年で7億人を超えたとあります。私も、娘が小さい時に、何回か、ディズニーランドに行ったことがあります。ディズニーランドの秘密の一つ 「掃除」についてお話しします。

ディズニーランドでは、掃除をあらゆることに優先しています。これがディズニーランドの成功の秘訣なんです。

ディズニーランドでアルバイト募集をすると清掃係の人気が高いって知っていましたか?
ディズニーでは清掃係のことを「カストーディアル」と呼んでいます。
カストーディアルは白いとてもきれいな制服を着てパーク内を掃除しています。ゴミを掃くときもまるで演技のような身のこなし。「ごみをひらう」というのでなく、「夢のかけらをひらっている」んですって。

「ディズニーランドは、夢の国、夢と感動を与える場所」そこにごみが落ちていては似合わない。
朝から晩まで、300人のそうじ係が、15分交代で毎日そうじしています。
夜は「ナイトカストーディアル」がいて、客が帰ったあと徹底した掃除をします。
大変な仕事ですが、「掃除の目標」があります。その目標とは、何でしょう。

それは「明日はじめてのお客さんがハイハイしている赤ちゃんかもしれない。そのお赤ちゃんがきても大丈夫なようにきれいにする。」なのです。「掃除をがんばる」でなく、「赤ちゃんがハイハイしても大丈夫なくらい」っていうのは、すごく具体的な目標ですね。これなら徹底して磨こうと思いますね。

私も、実際に出会った「カストーディアル」3人にインタビューしてみました。10年以上も前の話ですが、今も変わっていないと思います。

「ディズニーランドは掃除を大切にしていると聞きましたが何か特別に言われていますか?」
すると「基本的にはほうきの持ち方などは教わりますが、他には何も言われていません。自分で考えて掃除をしています」「朝の打ち合わせは、今日も頑張りましょうだけです」「ディズニーランドは綺麗だし、私も綺麗にしたいと思います」
「それは時給がいいからですか?」と聞きますと「いいえそうではありません」「ディズニーランドに勤めているという誇りのようなものです」

二人目「私は、アルバイトでまだ10日目なんですが、掃除を第一希望に出していました。」
「自分の担当のエリアは決まっていて、自分で責任をもって気づいたことをやっています」「点検はありませんが、パレードのあとなど自分でやらないとゴミがたまってしまいます」
三人目
「僕の場合は、見せる仕事ですね。同じちりとりに入れるのでも、ちんたらはかずにササッとやります」「自分で考えてやっていることの方が多いです。任されていますから」

いかがでしょうか。バイトであってもディズニーランドの主人公の一人としてのほこりや責任をもっているんだと感心しました。

では、ディズニーランド以外の場所の掃除はどうでしょう?
以前、私が、東京駅のすごくたくさんの人が使うトイレに入った時、掃除中で、白いエプロンをしたおばさんが、大便器の掃除をしていました。
便器を磨く水は、どうするのだろうと立ち止まってみていました。その水はどこにあったと思います?  それは、便器の中にたまっているお水でした。その水にぞうきんをつけ洗剤をつけて、ピカピカに磨いているおばさんの姿。
みなさんあの大便器の水溜に手を突っ込めますか?ゴム手袋をされていましたが、私はその仕事ぶりの一部始終をみて「すごい」と感動していました。
トイレ掃除のマニュアルがあるのでしょうけど、あそこまではなかなかできることではありません。もし、おばさんになぜって聞いたとしたら、きっと「それが私に与えられた仕事だから」と答えられたと思います。誰が使ったか分からない汚れたトイレ。けれど、手をぬかずキレイにするのは、「自分の仕事への責任とプライド」なのだと感じました。

勉強でも部活でも何でも同じ。勉強そのものを一生懸命にやる。基礎練習であっても手を抜かない。自分のやるべき仕事をきっちりやり切る。それが人間をつくっていくのではないでしょうか。
NHK流にいうと「プロフェッショナル、仕事の流儀ですね」
そのおばさんの姿を見て以来、私も家の便器ですが素手で掃除ができるようになりました。
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8月26日 グランド周辺の環境整備を保護者の方にお世話になりました。生徒も生徒会・バスケ部・バドミントン部・レスリング部のみなさんが進んで作業に参加し、気持ちのいい学校になりました。ありがとう。

さて、みなさんにお尋ねします。
皆さんは掃除をどんな気持ちでやっていますか?掃除を頑張る人が多いのですが、1学期には、人数が多すぎて、「だれかにやってもらって、チャイムがなればおしまい」という場所が多くありました。そこで「掃除を通してきちっとしたことをやれる人に」「限られた時間をもっと効率よく使おう」と2学期から、クラスの半分ずつですが「当番制」に変えてもらいました。
5分短くなったけれど、取り掛かりを早くすれば中身は同じ。早く終われば、部活の時間や放課後学習の時間が早く始められます。

掃除が変わりましたか? 先週、掃除の終わりに数名の人にインタビューしました。
教室に、先生はおられませんでしたが、時間内に終わっていました。この人たちは、「掃除をさぼ
ると罰がある」から仕方なくやったのでしょうか。そうではありません。

「担任の先生が授業で、「頼むで」って言われたから「がんばらきゃ」と思ってやりました。」また別の人は、「やらずにぶらぶらしている人がいないからいい感じ」って。
「人数が少ないからちゃんとやらないとごみがたまってしまうから」と答えてくれた人もありました。」トイレ掃除の1年生も「自覚をもってやっていきたい」「僕も気持ちを作っていきます」と張り切っていました。

ところが、週の後半、10分経っても半分も終わっていない教室が見受けられるようになりました。ちんたらやってたら何分あっても終わりません。
絶対に10分で終わらせる、できたら5分ででもやりきるのです。
野球でも、だれかが打ってくれるだろうでは、試合に勝てません。俺一人でも塁に出る。フォアボールでもデッドボールでも絶対出るんやという気迫がなければ9人集まっても勝てないのではないでしょうか。

もう一歩言うならば、他の人がどうあれ、「自分だけでもやる」という気持ちです。
「自分一人で石を持ち上げる気がなかったら二人がかりでも石は持ち上がらない」とことわざにもあります。分かりますね。やる気のない人が何人いても成果はあがらない。何事も本人のやる気しだいだ。逆に、一人ででもやってやろうという人が二人なら、力は倍増するし仕事も楽になります。

掃除のたった10分。その10分をどうすごすのかでその人の人生が変わってきます。
同じ仕事でも、やらされてやるのはいやですね。「ならば進んでやってやろうじゃないか」と

自由について渡辺和子さんが「めんどうだからやろう」の本に次のように書いています。
自由とは、「よりよい方」を選ぶこと。おかれた場所で、自分の在り方を決めていく。自分のおかれた条件に自分らしく立ち向かい、よく生きることに努めること」
この言葉を掃除に当てはめるならば、さぼったりテキトーにすますのが自由でなく、「よい自分をつくっていくために」、「よりよい生き方をしていくために」今「よりよい方を選び取っていく」そんな自由が私たちにはあるということではないでしょうか。
たかが掃除、されど掃除です。掃除も、自分を磨く大切な時間にすることができるのです。

今日の掃除当番のあなた。だれの遠慮もいりません。時間になったら黙々とやり始めるのです。あなたの姿が、他人のやる気に火をつけます。

学校はみんなが賢くなるところ、そして安心して学べる場。先生や友達といっしょに磨き合っていくところ。ディズニーランドに負けない「夢と感動の場」じゃないですか。そこにゴミやペットぼそんなすてきな学校に、あなたの10分を生かしてみませんか。

宗教講話ですから、聖書の言葉も紹介し終わりましょう。

「家を掃除しなさい。悪意やごまかし、ねたみ、悪口を箒で掃き出してきれいにしなさい」
これは聖パウロの言葉

マザーテレサもこんな風に言っています。
「どんなことでも心をこめて行うようにしてください。
なぜなら心がこもったものは、相手を感動させる力があるからです。

たいせつなのはどれだけたくさんのことをしたかではなく
どれだけ心をこめたかです。」

これで今日のお話はおしまいです。

(校長 宗教講話)