23日、沖縄は、沖縄戦の戦没者を悼む「慰霊の日」を迎えた。式で読み上げられた「平和の詩」。戦後75年の今年、沖縄県立首里高校3年の高良(たから)朱香音(あかね)さん(17)の詩「あなたがあの時」

 高良朱香音(あかね)さんの詩「あなたがあの時」(全文)

 「懐中電灯を消してください」

一つ、また一つ光が消えていく

真っ暗になったその場所は/まだ昼間だというのに

あまりにも暗い/少し湿った空気を感じながら/私はあの時を想像する

 あなたがまだ一人で歩けなかったあの時

あなたの兄は人を殺すことを習った

あなたの姉は学校へ行けなくなった

 あなたが走れるようになったあの時

あなたが駆け回るはずだった野原は/真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

 あなたが青春を奪われたあの時

あなたはもうボロボロ

家族もいない 食べ物もない/ただ真っ暗なこの壕(ごう)の中で/あなたの見た光は、幻となって消えた。

 「はい、ではつけていいですよ」

一つ、また一つ光が増えていく

照らされたその場所は/もう真っ暗ではないというのに

あまりにも暗い

体中にじんわりとかく汗を感じながら

私はあの時を想像する

 あなたが声を上げて泣かなかったあの時

あなたの母はあなたを殺さずに済んだ

あなたは生き延びた

あなたが少女に白旗を持たせたあの時

彼女は真っ直(す)ぐに旗を掲げた/少女は助かった

 ありがとう

 あなたがあの時

あの人を助けてくれたおかげで

私は今 ここにいる

 あなたがあの時

前を見続けてくれたおかげで

この島は今 ここにある

 あなたがあの時

勇気を振り絞って語ってくれたおかげで

私たちは 知った

永遠に解かれることのない戦争の呪いを

決して失われてはいけない平和の尊さを

 ありがとう

 「頭、気をつけてね」

外の光が私を包む

真っ暗闇のあの中で

あなたが見つめた希望の光

私は消さない 消させない

梅雨晴れの午後の光を感じながら

私は平和な世界を創造する

 あなたがあの時

私を見つめたまっすぐな視線

未来に向けた穏やかな横顔を

私は忘れない

平和を求める仲間として